みらい動物病院 医院長ブログ

日々の生活や、ペットの健康の豆知識などお届けします。 滋賀県大津市を中心に診察している動物病院。夜間診療・往診ご相談ください。 トリミング施設、ペットホテルも併設しております。専用駐車場有。

2016年03月

こんにちはヽ(^0^)ノ

今回は抗がん剤治療1回目について記載します。
前回まではコチラをご覧下さい。




前回書きましたとおり、チャチャはドキソルビシンをプロトコールに含んだプロトコルを採用することにしました。

第1週目は
L-アスパラギナーゼ :400IU/kg  皮下注射
ビンクリスチン:0.5-0.7mg/㎡    静脈注射
プレドニゾロン:2mg/kg              経口投与


まず、リンパ腫で落ちてしまった体力をL-アスパラギナーゼである程度回復させ、
その後にビンクリスチンの静脈注射という予定。
プレドニゾロンは、食欲が落ちている間は皮下注射を行いました。
では、時間とともに記載します。

2016.02.10
試験開腹。腸間膜リンパ節の腫大及び、腸間膜と腸管の癒着を確認。
リンパ節の一部を切除し、病理検査へ。

2016.02.12

高悪性度消化器型リンパ腫との検査結果。
直ちに、L-アスパラギナーゼ400IU/kg及び、プレドニゾロン2mg/kgの皮下注射。

2016.02.15
元気・食欲の改善が見られた為、入院をし、ビンクリスチン0.5mg/㎡ で、1時間かけて静脈注射を行う。
投薬後、腫瘍崩壊症候群の発生を少しでも抑えるため、生理食塩水を7時間静脈点滴。

処置後の血液検査結果です

0001
ALT(肝臓)がやや上昇、赤血球の項目が高めなのですが、腸管からの水分吸収が低下していたため、
脱水による影響だと思われます。
心配していたカルシウムの上昇はなかったので、一安心ですが、要経過観察です。

入院・投薬中は、不安からか怯えた様子でしたが、家に連れて帰るとご飯もよく食べ、嘔吐もないようでしたので
よかったです!



08
 
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みらい動物病院は、病気の治療・予防だけでなく、 ペットが日々健康に暮らせるための食事指導やしつけ・マナー、お手入れ方法の指導、動物を通じての子供教育など、ペットとペットオーナーそして地域の方々と共に、ペットと暮らしやすい大津市のみらい(未来)を作っていきたいと考えます。

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休診日;木曜日、日・祝午後
診察時間:午前9時~12時 午後4時~7時30分
夜間・緊急は随時受付

今回は第3回目。
抗がん剤治療についてです。

第1回目はコチラ
第2回目はコチラ

猫に限らず悪性リンパ腫は、抗がん剤が奏功しやすい腫瘍です。
場合によっては外科手術を行うこともありますが、基本的には血液の腫瘍なので、外科手術よりも抗がん剤治療が第一選択になります。
 
抗がん剤には様々な種類があり、それを組み合わせ、有効と考えられている投与計画(プロトコルと言います)を立てていきます。

現在、猫の高悪性度消化器型リンパ腫で行われているプロトコルは主に3種類あります。

①COPプロトコル
シクロフォスファミドビンクリスチンプレドニゾロンの3種類の薬剤を併用します。

シクロフォスファミド:リンパ腫に対して、弱い効果のある抗がん剤です。注射と錠剤の両方がある ため、通院が大変な動物には内服薬として使用することもあり。
揮発性が高いため、服用後の糞・尿の処理には特に注意が必要。

ビンクリスチン:リンパ腫に対して、中等度の効果がある注射の抗がん剤です。血管から投薬しますので入院が必要です。

プレドニゾロン:通常は、抗がん剤ではなく免疫を抑えたり炎症を鎮める薬剤です。しかし、リンパ腫の細胞はプレドニゾロンに良く反応するため、リンパ腫の治療においては抗がん剤として用い ます。
効果はさほど長続きしませんので、通常は治療の初期(1ヶ月ほど)にのみ用います。

これらの薬剤を組み合わせ、基本的には8週間続けます。


②CHOPプロトコル
上記①の3剤にドキソルビシンを加えたもの。


ドキソルビシン: リンパ腫に対して最も強力な抗がん剤です。副作用の頻度は高くありません が、嘔吐や下痢、および白血球減少が起こります。血管から1時間以上かけてゆっくり投薬する必要がある為入院が必要です。


③ ウィスコンシン大学プロトコル
上記②の4薬剤にL-アスパラギナーゼを加えたもの。

L-アスパラギナーゼ: リンパ腫の細胞が必要とする栄養素を分解する酵素剤です。
リンパ腫以外の 細胞には無毒ですので、他の抗がん剤で見られるような副作用がほぼ起こりません。
ただし、プレドニゾロン同様、効果はあまり長続きしないので、通常は治療の初期など、リンパ腫 で弱った体力を回復させる時期にのみ用いられます。


他にも様々なプロトコルは存在しますが、使用する抗がん剤は基本的にはこの5種類です。
組み合わせ方や投薬間隔などが違ってきます。


では、どのプロトコルが良いのか?
実はこれも、データが不足しています。
ただ、CHOPプロトコルを行った場合(ドキソルビシンを使用した場合) の方がCOPプロトコルを行った場合(ドキソルビシンを使用しない場合)よりも、寛解期間が長いという報告がいくつかあげられているため、現在のところは、ドキソルビシンを含んだプロトコルを採用することが多いです。


もちろん費用や、通院回数、その時の症状など、考慮しなければならないことも多いので、COPプロトコルを実施する場合もあります。



さて、チャチャですが、かなり体力も落ちていたため、L-アスパラギナーゼを最初に使い、少し体力を回復させたいという想いもあったので、ウィスコンシン大学プロトコルを採用することにしました。


しかし、心配な点がいくつかありました。


1.診断の為開腹をしている為、プレドニゾロンを高用量で使用する事が不安
プレドニゾロンは、傷の治りが遅延するという副作用があります。その為、高用量で使用をすると傷口がくっつかず、裂開してしまう恐れがあるのです。
裂開は怖いので、低用量でプレドニゾロンを開始するもしくは、傷の治りを待ってから抗がん剤を始めるという選択肢もあります。
しかし、低用量で使用してもリンパ腫に対しての効果は期待できませんし、傷の治り待っていたら、そこまで体力が持つかどうかも分からない状態です。
リンパ腫に限らず、術後にどうしてもプレドニゾロンを使用しなければならない動物も今まで数多く見てきましたが、幸い裂開を起こした子はいませんでした(実際に裂開したという話は聞いています)。
ここは、チャチャの生命力に賭けることにしました。


2.腫瘍崩壊症候群が起きてしまう恐れ
『腫瘍崩壊症候群』とは、悪性腫瘍の治療時、腫瘍が急速に死滅(崩 壊)するときに生じ、体内の尿酸が増える、カリウム、カルシウム、 リンなどの電解質のバランスが崩れる、血液が酸性になる、腎臓から の尿の産生が減少するなどの異常が出現します。
これが起こると尿酸が結晶化し、腎臓に詰まることで急性腎不全が起きます。
処置が遅れれば亡くなってしまうのです。

また、チャチャの場合は腸管や腸間膜の癒着を起こしていたため、腫瘍細胞が急速に減少することによって、腸穿孔を起こすリスクもありました。

しかし、これらのリスクを侵してでも治療をしなければ、数日から数週間の命。
幸い私は獣医師なので、ある程度予防をする為の処置は可能であり、また、異常が起きれば早急に対処できると判断したため、抗がん剤治療を開始しました。


『チャチャ』の大好きなお友達『みらい』と仲良く寝てます
tyami
少し更新が遅れていますが、今のところチャチャは元気にしています!
次回は抗がん剤治療の1回目について記載しますね。



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