みらい動物病院 医院長ブログ

日々の生活や、ペットの健康の豆知識などお届けします。 滋賀県大津市を中心に診察している動物病院。夜間診療・往診ご相談ください。 トリミング施設、ペットホテルも併設しております。専用駐車場有。

カテゴリ: 猫の高悪性度消化器型リンパ腫

今回は、チャチャの抗がん剤2回目です。
前回まではコチラをご覧下さい。


前回の1回目の抗がん剤治療は、慣れない場所だったせいもあり、投薬中こそ元気がありませんでしたが、
おうちに帰ってからはすぐにご飯も食べ普段と変わらないような状態でした。
機嫌は悪くなさそう。
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しかし、チャチャのお友達の『みらい』は、匂いがいつもと違うことに気づいたらしく、シャーシャー言って、なかなか受け入れてくれませんでした・・・


翌日からは、仲良くしてくれていたので良かったですが、今後が思いやられます。

さて、抗がん剤プロトコル第2週目は、シクロフォスファミドになります。
今回は血管からの注射で投薬しますが、ネコちゃんの性格によっては、内服薬として処方されることも多いです。

このお薬自体は、腫瘍に対する作用は比較的弱いのですが、取り扱いには非常に気を遣わなければなりません。
催奇形性(妊娠中の胎児への悪影響)発がん性が確認されており、尿中に比較的高濃度に排泄されますので、投薬後にしたおしっこは、手袋・マスクを装着し、小まめに掃除することが必要となります。

また、副作用として、出血性膀胱炎が見られることがあるので、おしっこの色が分かるような2槽式タイプのおトイレの方が管理がし易いと思います。
 

では、前回同様、1回目の抗がん剤投与から2回目の抗がん剤投与までを、時系列で追っていきます。

2016.02.16
1回目の抗がん剤投与翌日です。
昼間は病院へ連れて行かれることを警戒をし、隠れていましたが、夜には夜には普通に接してくれました。
食欲はいつもの半分ぐらい。

2016.02.17~21
昼間は警戒はするものの、病院で着ている服から部屋着に着替えると大丈夫のようです。
食欲もまずまず。病気発覚前ほどは食べませんが、体重維持は出来ています。
以前はしていた「みらい」と夜中の大運動会が見られないのでやはり調子が良くはないんやろな・・・
と、少し落ち込む。

2016.02.22
「にゃんにゃんにゃんの日」なのに、チャチャにとっては地獄の抗がん剤の日。
前回おこなったビンクリスチンの副作用が出ていないかの血液検査を行います。

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白血球の減少や貧血、肝臓・腎臓の数値もなく良好でしたので、いざシクロフォスファミドの投薬開始です。
トイレでおしっこもしてくれましたし、前回よりは少し慣れてくれたかな?
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帰ってからも血尿・吐き気もなく、大丈夫そうですね。
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みらい動物病院は、病気の治療・予防だけでなく、 ペットが日々健康に暮らせるための食事指導やしつけ・マナー、お手入れ方法の指導、動物を通じての子供教育など、ペットとペットオーナーそして地域の方々と共に、ペットと暮らしやすい大津市のみらい(未来)を作っていきたいと考えます。

アットホームで話しやすい、ペットオーナー様が参加出来る、オープンな診療を心掛けております。どんな事でもお気軽にご相談下さい。

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こんにちはヽ(^0^)ノ

今回は抗がん剤治療1回目について記載します。
前回まではコチラをご覧下さい。




前回書きましたとおり、チャチャはドキソルビシンをプロトコールに含んだプロトコルを採用することにしました。

第1週目は
L-アスパラギナーゼ :400IU/kg  皮下注射
ビンクリスチン:0.5-0.7mg/㎡    静脈注射
プレドニゾロン:2mg/kg              経口投与


まず、リンパ腫で落ちてしまった体力をL-アスパラギナーゼである程度回復させ、
その後にビンクリスチンの静脈注射という予定。
プレドニゾロンは、食欲が落ちている間は皮下注射を行いました。
では、時間とともに記載します。

2016.02.10
試験開腹。腸間膜リンパ節の腫大及び、腸間膜と腸管の癒着を確認。
リンパ節の一部を切除し、病理検査へ。

2016.02.12

高悪性度消化器型リンパ腫との検査結果。
直ちに、L-アスパラギナーゼ400IU/kg及び、プレドニゾロン2mg/kgの皮下注射。

2016.02.15
元気・食欲の改善が見られた為、入院をし、ビンクリスチン0.5mg/㎡ で、1時間かけて静脈注射を行う。
投薬後、腫瘍崩壊症候群の発生を少しでも抑えるため、生理食塩水を7時間静脈点滴。

処置後の血液検査結果です

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ALT(肝臓)がやや上昇、赤血球の項目が高めなのですが、腸管からの水分吸収が低下していたため、
脱水による影響だと思われます。
心配していたカルシウムの上昇はなかったので、一安心ですが、要経過観察です。

入院・投薬中は、不安からか怯えた様子でしたが、家に連れて帰るとご飯もよく食べ、嘔吐もないようでしたので
よかったです!



08
 
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今回は第3回目。
抗がん剤治療についてです。

第1回目はコチラ
第2回目はコチラ

猫に限らず悪性リンパ腫は、抗がん剤が奏功しやすい腫瘍です。
場合によっては外科手術を行うこともありますが、基本的には血液の腫瘍なので、外科手術よりも抗がん剤治療が第一選択になります。
 
抗がん剤には様々な種類があり、それを組み合わせ、有効と考えられている投与計画(プロトコルと言います)を立てていきます。

現在、猫の高悪性度消化器型リンパ腫で行われているプロトコルは主に3種類あります。

①COPプロトコル
シクロフォスファミドビンクリスチンプレドニゾロンの3種類の薬剤を併用します。

シクロフォスファミド:リンパ腫に対して、弱い効果のある抗がん剤です。注射と錠剤の両方がある ため、通院が大変な動物には内服薬として使用することもあり。
揮発性が高いため、服用後の糞・尿の処理には特に注意が必要。

ビンクリスチン:リンパ腫に対して、中等度の効果がある注射の抗がん剤です。血管から投薬しますので入院が必要です。

プレドニゾロン:通常は、抗がん剤ではなく免疫を抑えたり炎症を鎮める薬剤です。しかし、リンパ腫の細胞はプレドニゾロンに良く反応するため、リンパ腫の治療においては抗がん剤として用い ます。
効果はさほど長続きしませんので、通常は治療の初期(1ヶ月ほど)にのみ用います。

これらの薬剤を組み合わせ、基本的には8週間続けます。


②CHOPプロトコル
上記①の3剤にドキソルビシンを加えたもの。


ドキソルビシン: リンパ腫に対して最も強力な抗がん剤です。副作用の頻度は高くありません が、嘔吐や下痢、および白血球減少が起こります。血管から1時間以上かけてゆっくり投薬する必要がある為入院が必要です。


③ ウィスコンシン大学プロトコル
上記②の4薬剤にL-アスパラギナーゼを加えたもの。

L-アスパラギナーゼ: リンパ腫の細胞が必要とする栄養素を分解する酵素剤です。
リンパ腫以外の 細胞には無毒ですので、他の抗がん剤で見られるような副作用がほぼ起こりません。
ただし、プレドニゾロン同様、効果はあまり長続きしないので、通常は治療の初期など、リンパ腫 で弱った体力を回復させる時期にのみ用いられます。


他にも様々なプロトコルは存在しますが、使用する抗がん剤は基本的にはこの5種類です。
組み合わせ方や投薬間隔などが違ってきます。


では、どのプロトコルが良いのか?
実はこれも、データが不足しています。
ただ、CHOPプロトコルを行った場合(ドキソルビシンを使用した場合) の方がCOPプロトコルを行った場合(ドキソルビシンを使用しない場合)よりも、寛解期間が長いという報告がいくつかあげられているため、現在のところは、ドキソルビシンを含んだプロトコルを採用することが多いです。


もちろん費用や、通院回数、その時の症状など、考慮しなければならないことも多いので、COPプロトコルを実施する場合もあります。



さて、チャチャですが、かなり体力も落ちていたため、L-アスパラギナーゼを最初に使い、少し体力を回復させたいという想いもあったので、ウィスコンシン大学プロトコルを採用することにしました。


しかし、心配な点がいくつかありました。


1.診断の為開腹をしている為、プレドニゾロンを高用量で使用する事が不安
プレドニゾロンは、傷の治りが遅延するという副作用があります。その為、高用量で使用をすると傷口がくっつかず、裂開してしまう恐れがあるのです。
裂開は怖いので、低用量でプレドニゾロンを開始するもしくは、傷の治りを待ってから抗がん剤を始めるという選択肢もあります。
しかし、低用量で使用してもリンパ腫に対しての効果は期待できませんし、傷の治り待っていたら、そこまで体力が持つかどうかも分からない状態です。
リンパ腫に限らず、術後にどうしてもプレドニゾロンを使用しなければならない動物も今まで数多く見てきましたが、幸い裂開を起こした子はいませんでした(実際に裂開したという話は聞いています)。
ここは、チャチャの生命力に賭けることにしました。


2.腫瘍崩壊症候群が起きてしまう恐れ
『腫瘍崩壊症候群』とは、悪性腫瘍の治療時、腫瘍が急速に死滅(崩 壊)するときに生じ、体内の尿酸が増える、カリウム、カルシウム、 リンなどの電解質のバランスが崩れる、血液が酸性になる、腎臓から の尿の産生が減少するなどの異常が出現します。
これが起こると尿酸が結晶化し、腎臓に詰まることで急性腎不全が起きます。
処置が遅れれば亡くなってしまうのです。

また、チャチャの場合は腸管や腸間膜の癒着を起こしていたため、腫瘍細胞が急速に減少することによって、腸穿孔を起こすリスクもありました。

しかし、これらのリスクを侵してでも治療をしなければ、数日から数週間の命。
幸い私は獣医師なので、ある程度予防をする為の処置は可能であり、また、異常が起きれば早急に対処できると判断したため、抗がん剤治療を開始しました。


『チャチャ』の大好きなお友達『みらい』と仲良く寝てます
tyami
少し更新が遅れていますが、今のところチャチャは元気にしています!
次回は抗がん剤治療の1回目について記載しますね。



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こんにちは。

大津市のみらい動物病院です。

第2回目は、チャチャの病気である
『高悪性度消化器型リンパ腫』の概要を綴ります。

第1回目はコチラ



【診断方法】
腸管や腸管に付随するリンパ節から組織や細胞を採取して診断します。
血液検査やレントゲン、エコーといった検査では確定診断はできません


【診断基準】

ここが最もややこしいところです。
『悪性リンパ腫』という診断は細胞や組織を採取することで比較的容易に診断ができるのですが、
悪性リンパ腫の中でも更に細かく分けられ、それにより予後や治療方法というものが大きく変わってきます。
では、チャチャの検査結果を見ながら説明していきます。

コメント

 赤枠:悪性リンパ腫の細かな分類基準
・NCL-WF分類
アメリカでよく用いられる分類法。
グレード評価は低グレード・中間グレード・高グレード・Miscellaneous(雑多な)に分類。
T細胞、 B細胞の分類は無い。

・Kiel分類
ヨーロッパでよく用いられる分類法。
グレード評価は低グレード・高グレードの2段階に分類。
T細胞、 B細胞の分類がある。

・WHO分類
グレード評価はされていない。
T細胞, B細胞の分類がある。
腫瘍細胞の形態に基づき細かく分類をされており、最も腫瘍の本質を見ている基準だが、
一般的には理解しにくい(グレード分類がない為)。

※グレード≒悪性度と理解してもらってOKです。低グレードは悪性リンパ腫の中でもまだ悪性度が低いという事
※腫瘍というものは無秩序に分裂・増殖をする為、予想もしない挙動をとることもあります(低グレードに見えても高グレードの挙動をとる場合もあるので、『絶対』ではない)。
※他にも『未分化』『高分化』 など記載されている事もある。正常な細胞は発生してから徐々に成長(分化)していき、成熟する。『未分化』とは、成長していない細胞の事で、正常細胞とは大きく形態が異なる。
一方『高分化』とは、ある程度成熟した細胞であり、正常細胞と形態が似ている。

悪性リンパ腫に限らず、腫瘍とは、正常細胞との形態がかけ離れているほど(未分化であるほど)悪性度が高いと考えられる。 


チャチャの場合、NCL-WF分類及びKiel分類では高グレード(≒高悪性度)で、かつ、B細胞性の悪性リンパ腫になります。
現状、猫の悪性リンパ腫において、B細胞かT細胞で予後に統計学的な有意差はありません。

つまり、大切なのは、低グレードなのか高グレードなのかということになり、NCL-WF分類における中間グレードの場合は、高グレードと同等の治療をする事が多くなっています(実際は臨床症状を見ながらですが)。

東京大学動物医療センターでは、Kiel分類において低グレード及び高グレードのリンパ腫と診断された猫の生存期間中央値は、113日vs67日という報告をしています。


青枠:ステージ分類
ステージ分類とは、グレード分類とは異なり、進行度を表しています。
簡単に言うと、早期のガン、末期のガンというものです。
以下が、猫のリンパ腫の臨床ステージの1つです。

  • ステージ1 単一の腫瘤(節外性)または単一の臓器(節性のみ)
  • ステージ2 単一の腫瘤(節外性)及び所属リンパ節;横隔膜を越えない2つの腫瘤(節外性)または節性病変;切除可能な消化管腫瘤
  • ステージ3 横隔膜を挟んだ2つ以上の腫瘤(節外性)または節性の病変;脊髄・硬膜外のリンパ腫;全ての切除困難な腹腔内腫瘤
  • ステージ4 肝臓および/または脾臓に浸潤したステージ1~3のリンパ腫
  • ステージ5 中枢神経または骨髄のいずれかまたはいずれにも浸潤したステージ1~5のリンパ腫
  • サブステージ a:臨床症状がない b:臨床症状がある
チャチャの場合、切除困難な腹腔内腫瘤があり、削痩・嘔吐などの臨床症状も見られた為、ステージ3-bと判断できます。

ただ、猫のステージは、複雑であり 、また、ステージによる予後評価や治療の変更の必要性に関する情報は少なく、どこまで意義があるのかははっきりしていません

緑枠:予後評価
犬のリンパ腫では予後と関連するいくつかの因子が報告されていますが、猫の高悪性度消化器型リンパ腫の
予後因子は明らかにされていません

ただ、予後因子として可能性のあるものとしては(消化器型リンパ腫だけでなく全ての猫悪性リンパ腫)、

・FeLV(猫白血病ウイルス)感染の有無
生存中央期間:FeLV陰性=7ヶ月vsFeLV陽性=3.5ヶ月
抗がん剤への耐性が出来やすい

・治療に対する反応
生存期間中央値:完全寛解症例7ヶ月>部分寛解症例2.5ヶ月>治療への反応なし1.5ヶ月

・臨床徴候の有無
前述したステージ分類におけるサブステージb(臨床徴候がある)場合の方が予後は悪いとされる


以上です。
書いていて感じたのは、やはり猫のリンパ腫はデータが少なすぎるということ。
はっきり分かっているのは、高グレードの方が低グレードよりも悪いということだけです。
ただ、症例自体は増えているので、今後いろいろな事が分かってくると思います。

次回は、チャチャの具体的な治療方法について書いていきます。



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こんにちは!
大津市のみらい動物病院です。

暖かくなったり、寒くなったり、まさに三寒四温ですね。
少しずつ春に近づいているのでしょう。
寒暖差が激しいと体調不調を引き起こしやすいので、ワンちゃん・ネコちゃんも飼い主様も体調には十分ご注意くださいね。

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引きこもり生活から脱したミーちゃん



さて、本日は少し(かなり)真面目なお話です。

ここ半年、我が家の愛犬・愛猫が立て続けに体調を崩しております。
犬は、高齢なのでいつ何があっても覚悟はしているのですが、いざ体調が悪くなるとやはり動揺をしてしまいます。

少しでも長く一緒にいたいという『飼い主』としての想いが強くなります。


猫は、まだ5歳前後と若い為、まだまだ一緒に暮らすことしか考えていなかったのですが、
先日4歳のチャチャが体調を崩しました。


何となく元気がないかな?とは思っていたのですが、元々野良猫出身のため、なかなか検査もさせてくれないので、食欲を中心によく様子を見ていました。
食欲はそこそこあるものの、やはり心配なので嫌われるのを覚悟しまずはしっかり触診を行いました。


すると、お腹の中に何か違和感を感じたためレントゲン・エコーで確認すると腫瘍らしきものが確認できたため、
緊急で開腹手術を実施。
開腹すると、とても摘出できるような状態ではなく、腸間膜リンパ節という部分がそこらじゅう腫れていたのです。
獣医師として、見た瞬間に『悪性リンパ腫・・・』という病気が頭をよぎりました。


腫れているリンパ節を一部摘出し、病理組織診断へ。


病名はやはり『悪性リンパ腫』
しかも、『高悪性度消化器型悪性リンパ腫』という結果でした。


この病気は、血液中に含まれる白血球の1つであるリンパ球のガンで、いわゆる『血液のガン』と呼ばれるものです。
完治は非常に厳しく、無治療の場合生存期間中央値(平均値とは少し異なる)は、
『5日~2週間』
と報告されています。

かし、『悪性リンパ腫』は、犬・猫のガンの中でも最も抗がん剤が効くガンです。
抗がん剤が奏功した場合の生存期間中央値は431日という報告もある。
『431日』
1年と3ヶ月ほど。


それほど厳しい病気なのです。
もちろん、これより長く生きている子もいるし、短い子もいる。
抗がん剤が効かない事だってある。
抗がん剤が効いても副作用が強く出る子もいるし、ほとんど出ない子もいる。


難しい選択。






とても難しい選択。




飼い主としては、『チャチャを苦しませたくない』という感情と『少しでも長く一緒に暮らしたい』という感情が入り混じる。


獣医師としては、『経験上、そしてデータ上、やってみる価値はある』という想い。

『勝てない試合というのは分かっている。だからこそ良い負け方を考えなければならない』






家族とも話し合い、『抗がん剤治療をし、副作用がきつく苦しむようであれば優しく見守っていこう』
という、結論に達しました。




さて、この事をブログに綴ろうとしたきっかけは2つあります。


1.猫の悪性リンパ腫について、診断名(悪性度や型、ステージなど)や、治療方法(抗がん剤の種類や副作用など)について詳細に正確に記載しているサイトがあまり存在しないこと。
実は、猫の悪性リンパ腫はまだまだデータが不足しているため、診断や分類、治療方法というのが確立まではしていないのです。3年前の治療が現在では行われていなかったり、分類基準が変わったり。
その為私も現時点での見解を綴っていきます。


2.先日ハムスターを飼い始めた小さな女の子が来院しました。
結果的にその子は低体温症と思われる状態であり亡くなってしまったのですが、女の子は泣きじゃくり悲しんでいました。
こんなに小さな動物で飼い始めてから3ヶ月ほどしか経っていない。
それでも『死』というものを受け止め『悲しい』という感情は十分芽生えます。
昨今の若者による猟奇的な殺人事件。
『死』というものを通じて、生命の尊さを小さい頃から知っておくという教育。
まだまだ出来ていないのかな?と感じます。


次回からは、猫の高悪性度消化器型リンパ腫について、詳しく綴っていきます。
恐らく楽しくはないと思います(笑)
ご興味ございます方はご覧下さい。



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